平日の昼間、上映開始の20分前。それが私が着いた時間でした。
ところがチケットを買って入ってみたら1階席はすでに埋まっていて、2階席に入る列に並ばされるという混み様。
混んでいるのが嫌いな私としては「しまった来るんじゃなかった」という心境でしたが時すでに遅し。 なすすべもなく2階席へと吸い込まれていくのでした。
とは言いつつも混雑など気にならないぐらい面白い映画でした。
2階席とはいえ2列目のかなりいい席だったおかげかもしれませんが。
この映画は暖かい映画だと思います。
まず色彩。
監督のこだわりで街中のポスターも撮影のために張り替えたという徹底ぶりで、見終わってから回想してみると確かに暖色系の色しか思い出されません。
次に登場人物。
作中の人物紹介はつねに好きなものと嫌いなものが添えられ、どの人物もクセのある、お茶目な特徴を持っています。
人には言えない様な部分は誰しも持っているものですが、それを観客に対して開けっぴろげに見せることで、観客の方も登場人物に対してより親しみが持てるのだと思います。
最後にストーリー。
隣人達をほんの少し幸せにするためにアメリがちょっとした悪戯を仕掛けていくというのが基本パターン。
時に純真さの裏返しである残酷性が見えることもありますが、幸せそうな人達の顔を見ると、やはり暖かい映画だなと思わずにはいられません。
激混みの劇場でも行くだけの価値はある映画だと思います。
覚悟を決めてからぜひどうぞ。
文責:柚木千夜