第10夜 「ブロウ」 (映画)

私は普段あまり人にすすめられて何かするということのない人間なのですが、この映画は珍しく人が褒めてるのを見て観てみたいと思った映画でした。
一人目は井筒監督。テレビ朝日の某番組で話題の映画をめった斬りにすることで知られている井筒監督が、満点をつけたということで俄然興味がわいてきました。
とはいうもののなかなか機会がなく時間が過ぎ去ってしまったある日、このサイトの制作担当でもあるakiu氏と映画について電話で話をする機会があり……。
いやもうビックリです。彼は問題の番組を見ていただけではなく、問題の映画まで観たというのです。しかも絶賛(しているように私には見えた)。つーか誘ってください。いや多分予定は合わなかったと思いますが。

そんなわけで前置きが長くなりましたが中身について。
実在のアメリカの麻薬王、ジョージ・ユングの半生をドキュメンタリー風にまとめた映画です。
ストーリーというよりは人生の一コマ一コマを淡々と回想するような感じになっていて、容赦なく年月が過ぎ去っていきます。
最初のうちはこのぶつ切りのような流れに戸惑いもあって映画に入れずにいたのですが、不思議なことにジョージが仲間に裏切られ、人生の歯車が狂い始める頃になると、知らぬ間に引き込まれていたような感じでした。

この“淡々と進んでいく”というところがポイントだったのだと思います。
もっと観客を感情移入させるような話にも出来たと思いますが、それをあえてしなかったのはお仕着せでない観客の素直な感想を引き出したかったからではないでしょうか。

あとジョニー・デップの演技もいい感じでした。
20年以上の年月をきちんと表現していました。たった2時間の映画で、です。


文責:柚木千夜

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